痛みを抱えてやってきた患者さんって、先生はどう思います?
可哀想だからすぐに診てあげたくなります?
さっと処置して、痛みが緩和されて、
帰るときに
「助かりました」
「先生ありがとう」
こんなこと言われたら、
ドクター冥利につきますよね。
ただ、すごく微妙なことを言ってしまいますが、、、
対処療法への即対応が、医院の利益を蝕んでいく…。
めちゃくちゃシビアで、ドライなことを言っちゃうかも知れません。
先生が一人の医師として、
「痛みを抱えた患者」を「すぐ」に「何とか」してあげたいという
その優しさは、
実は「経営者」としては、
一歩引いて見てみた方が良いんじゃないかと新井は思っています。
その患者さんが「長期的に利益」をもたらすだろうか?
ユニット4台のクリニックならせいぜい、
月間の延べ来院患者数800~900人、
レセプト枚数では400~500枚、
20診療日/月だったら、
40~45人/日あたりが、
物理的な限界ではないでしょうか?
仮にあなたの医院のレセ枚数が450枚/月だったとして、
月間450人の患者さんが来られるとします。
「デンタルIQの高い450人」と「デンタルIQの低い450人」
どちらの患者リストを先生は持ちたいですか?
前者であれば、
3~4ヶ月に1回、
リコールで来るたびに衛生士が対応してくれて、
少し処置や検査があればドクターもチェックに入る。
基本は助手がカウンセリングをしてくれたり、
衛生士がスケーリングをしてくれて、
あなたは院長として「可処分時間」を確保しつつ、
外部のセミナーに行って仕入れをしてきたり、
自由な時間を持つ事ができる。
後者は、
ほぼほぼ「治療」だらけなので、
ユニットは3~4台がCや重度のPで埋まってしまい、
それこそ朝から晩まで、
1日45人ペースで、
院長もがっつり関わらなくちゃいけない…。
もちろん、初めからデンタルIQの高い患者様はいません。
一人一人、
時間をかけて啓蒙をしていく必要があります。
ただ、何が言いたいかというと、、、
その短期的な優しさが、患者様の長期的な自立を妨げているケースってありませんか?
ドクターとして、痛みを抱えている患者様が来られて、
「即」時に「処置」をして、
痛みを緩和し、
感謝されることはとても気持ちのいいことです。
でも、そこで患者様に言われるがままに、
今、この瞬間、即対応するのではなく、
将来、おじいちゃんになったとき、
何本の歯を残しておきたいのか?
どんな人生を送りたいのか?
更には、今は虫歯での痛みがあるかも知れないが、
痛みをとったところで、
本質的に自身の磨き方や、
口腔環境への考え方、
歯周病の脅威などを、
患者自身が正しく理解していなければ、
どうせまた将来再発してしまうこと。
きちんと検査をして、磨き方や習慣を整えて、
その上で「治療」をし、
治療が終わっても定期的に3~4ヶ月に1度は検診に来る事が、
最も費用対効果としても、
労力対効果としてもお得であること。
それらを理解してもらわなければ、
長期的にその人の人生をお守りする事は出来ないと思うんです。
「もし、私たちの考えが理解して頂けないのであれば、
ウチでは面倒を見切れませんので、
どうぞよそに行って頂いて結構です。」
極論、これぐらいのことが言えるドクターでなければ、
本当の意味でその地域の患者様を守ることも難しいでしょうし、
医院に潤沢な利益を確保し、
自由な時間をより多く確保して、
さらなる技術研鑽に投資し、
より永続的に地域の患者様を守り続けることは難しいのではないかと思います。
あー…….
新井自身、医療人ではないので、
あまり生意気なことは言いたくないんです。
ただね、経営コンサルタントとして申し上げるなら、
歯科医院の様な箱物ビジネスでは、
ある程度お付き合いできる顧客リストの数は限られているんです。
その限られた顧客リストを、
どんな顧客で埋めたいのか?
短期的な対処療法ばかりを望む短絡的な顧客で埋めたいのか?
あなた自身の価値観を理解して、しっかり長期にわたって一緒に歩んで行くそんな波長の合う、理想の顧客でいっぱいにするのか?
本当は、全部、あなたが選べるんです。
にも関わらず、流されるかのように、
来る人来る人をのべつまくなしに診察して、
あとになってから、
「ウチの患者は文句が多い」
「ウチの患者は自費なんてやらない」
「ウチの地域ではそんなの当てはまらない」
そう言う前に、出来ることはあるはずです。
「断つ」ことを「決める」のが『決断』だとするなら、
あなたは理想の未来を手に入れるために、
何を「断ち」ますか???
アライズム